あこがれのレンタルビデオ屋のバイト

小学生のころ、いとこの兄ちゃんが
レンタルビデオ屋のバイトをしていた。

 

兄ちゃんは深夜にバイトしていて、
遊びに行ったら、
きまって大画面のテレビで映画を見ていた。

 

個人経営のレンタルビデオ屋さんで
狭いのでレジカウンターの中に一人いればいい。
お昼は店長さん、深夜は兄ちゃんと、あと何人かのバイト生で
シフトが組まれていたらしい。

 

なにしろ、「バイトって楽しそう」というのが第一印象だった。

 

だって行くたんびに映画みてるんだもん。

 

そうして、高校生になったら兄ちゃんみたいに
レンタルビデオ屋でアルバイトするんだ!と決めていた。

 

ところが高校生になった今、
個人経営のレンタルビデオ屋なんてほんのわずかで
バイト募集なんかもちろん出してない。

 

そりゃそうだ。
レンタルビデオといえば、もうTUTAYAがあちらこちらにあるわけだから。
仕方ない。
時代の流れ。

 

だから僕の心の中には、
あの楽しそうに気楽にバイトしていた兄ちゃんの記憶が今でも離れず、
かなわぬ思い出となっている。